僕達急行〜A列車で行こう〜


それぞれ鉄道趣味を持つのぞみ地所に勤めるサラリーマン小町と、コダマ鉄工所の二代目小玉がひょんなことから出会い、友情をはぐくみつつ恋に仕事に向きあう物語。


初日に、丸の内TOEIにて。
森田芳光監督はこの作品の公開を待たずして世を去ってしまったので、こちらが遺作。


ストーリーそのものは大変シンプルというかありがちというか、とてもご都合主義的な流れなのですが、つまりは人と人とは駅であり、それぞれをつなぐ縁(=線路)がある。
という話なのだと解釈しています。
それぐらいに、べたなご都合主義の展開ではある。


ただディテールがおもしろくて、松ケンは音楽を聴きながら車窓風景を楽しみたい、というタイプのオタクであり、
瑛太は鉄工所の二代目だけあって設備やそれが発する音に興味があるタイプていう、
知らない人からすると鉄ちゃん=一眼ぶら下げて写真撮りまくる(鼻息は荒くメガネ)、のイメージだけでくくられてないところだったり。
電車男や昨今の秋葉系ヲタブームのせいで、なんとなくオタクに対するイメージの固定化が進んでる中、これは新しいかもなあ、と。
(実際松ケン風の見た目の鉄ヲタは見かける気がする)
身近に鉄ヲタがいて、ほかの鉄ヲタのせいでさらなるイメージダウンを招いてることを嘆いていて、
さらに鉄ヲタの中でも音系や写真系、駅系とか超細分化されてるとのこと。


そんな鉄ヲタと見てきて、私は演出や笑いが古いけどまあ笑えるなあ、と思ったのですが。
鉄ヲタによると、
「どう考えても旧国鉄(つまりJRになる前)ヲタなのに、なんで最新鋭の電車を見ていいと思うのか」
という趣味の整合性へのツメの甘さを糾弾していて、正直私には理解しかねる感じでありました。
少なくともオタクものとして馬鹿にしてる感じは受けなかったのでいいじゃないなんて思ったり。


基本的には松ケンと瑛太のいちゃいちゃが続くBL要素満載で、仕事パートは都合よすぎでしょってくらいうまくいくのに、
女性との恋愛パートはあまりにもにがしょっぱい。
これってけっきょくそういうことなのかしら。。。


ちなみに印象に残ったのは、
貫地谷しほりちゃんのさまざまなメガネプレイ
タイトロープの女で小悪党を演じた笹野さんの、またしても町工場のしかし人のよいお父さんぶり
・おちゃめでかわいい松坂慶子社長(武士の家計簿のお母さんと近いイメージ)
サンダードルフィンと移民の歌の思い出を語る直前の松ケンの顔
・あとは主演のふたりのイチャイチャイチャイチャ・・・
あたり。


衣装は全体にカラフルで、貫地谷しほりちゃんなんてオレンジのスーツに黄色いインナーといういでたち。
でも全体にファンタジーぽいので妙にマッチするというか。
女の子たちの言葉づかいも〜だわ、とか、〜わよ、とか今どきしないような感じで、ファンタジーに拍車をかける。
それを思うとご都合主義もさらに納得。
万人が見られるけど、万人にお勧めともいえない、そういう映画かな。

ちなみに後半突然ピエール瀧が出てくるのですが、瀧が画面にいるだけで笑えてしょうがなかったので、
瀧はほんとにすげえなあ、とむだに思った私でありました。


いろいろ言いましたが、エンドロールでの森田監督の直筆メッセージと、
リップスライムのかるーい感じの曲がぐっときた。