星の旅人たち


妻を亡くし、ひとり息子とも没交渉ぎみの老眼科医が、いつもの仲間と退屈しのぎのゴルフのさなかに受ける息子の訃報。
息子が遂げられなかった巡礼の旅に向かう父の物語。


なんとなくおもしろそうかなー、とふんわりした気持ちで見に行ったのに、冒頭からこれは傑作なのでは・・・!とふるふるしながら見入ってしまいました。
ビールも飲んじゃってたし、のんびり映画だから寝てしまうことさえ危惧していたのに。


巡礼の旅に出た先で出会う仲間たちがユニーク。
主人公も決して信心深いわけではないけれど、オランダ男は肥満解消のためだけれど行く先々で美食ざんまい、カナダ女は禁煙のためなのに道中チェーンスモーキング。
アイルランド男(作家)はスランプ解消のため、息子を亡くした父にドラマを求めてくる。
みんな大人だからつかず離れず。でも聖人じゃないからときどきよけいなことをするし言ってしまう。
ゴールは同じ、でも目的は違う4人の会話がとても良かった。


会話のないシーンにはスペインの自然と、町と、古くからの建造物。
風景が美しいから、地味めな物語でも目が楽しめる点でいろんな人に勧めやすい気がします。


純粋になにかを信じることは美しいけれど、それしか見えなくなるというのではなくて、
何かを信仰することでもう一つ高い視点をえられるのであれば、それが本当に理想的だな、ということを考えました。
上半期ベストのひとつ。